1年が終わり、再び1年が始まった学び舎の、人気の無い廊下。
  人の気配を感じさせないその廊下の窓辺で、彼は外を眺めていた。
  いつも両脇に従えた手下の姿も無く、ただ青白い顔をガラスに付くほどに
  近づけて、彼は未だかつて見た事もない無表情で、窓の外を見ていた。
  そこを通ろうと思ったのは確かだけど、目的があって急いでいるわけでもない。
  彼の珍しいその姿に、何となく見入ってしまった。
  どのくらい経ったのか、いい加減先に進もうと思って足を一歩踏み出そうとした時。
  マントを引っ張られて引き戻された。
  驚いて見るとドビーがいた。声を出そうとすると「シーっ」と指を口に当てた。
  大きな目の目じりを寂しげに下げて、音を立てないように彼をのぞき見た。
  見れば、ドビーの大きな目は、心なしか潤んでいた。
  一心に彼を見るドビーの上から、、こっそり彼の顔を見ると、
  差し込む夕日の光に染められて、ほんのり色づいた口元が目に入った。
  そして彼の口が、声なく言葉を紡いだ。
  「       。」
  その直後、彼は俯き強く頭を振ると顔を上げた。
  その時にはもう、彼はいつもの意地悪げな顔に戻って、
  廊下の向こう側へと行ってしまった。
  ドビーを見ると、大きな目から一粒涙が落ちた。
  そしてこちらを見上げ、何かを言おうとして口をつぐみ、
  深々と頭を下げて仕事場へと戻って行った。
  しばらくそこに立ち尽くしていたけれど、
  こうしていても仕方ないと思い直して、彼が居た廊下に歩み出た。
  「・・・判るさ。お前の寂しさくらい。」
  彼が居た窓を通り過ぎる時、口をついて出た。

  ”知ってる。親の居ない淋しさは。
   でもお前はまだ平気な方だろ?”

  その問いかけが、心の隅をチクリと刺した。
  
  ”だけど・・・。居なくなった者の替わりが居る訳がない事も、
   知ってる・・・。”

  「判りたくないけど、判るんだ。」

  間もなく陽が落ち、闇が全てを覆う時刻が訪れた。
  彼がたたずみ、ボクが彼の隠れた姿を見たあの廊下も、
  今はもう、暗いだけだった        


判りますか?(文章能力低いから不安;)
ハリー視点のお話です。《彼》とはドラコですね。
位置的には5巻後です。
ドラコにとってルシウスってどんなお父さんなんでしょう?
ドビーはドラコの小さい時を見てきたんでしょうか?
もし、見てきたなら、せめてドラコには愛情があって欲しいな。
と、私は思うのです。
案外、ハリーとドラコって性格似てたりして。
ほんのちょっとの違いだけで、似ていないような気がするだけで。。。