ある日の午後。ハリーはスネイプを見かけた。
《賢者の石》の一件でダンブルドア校長から、スネイプの行動に関して誤解を解いてもらったが、
スネイプの自分に対する憎しみが消えた訳でも、和らいだ訳でもないので、
ハリーにはどうしても、スネイプが『悪』では無いと思い切る事が出来なかった。
クィレルは『スネイプは自分の邪魔をしていた』と言っていた。
それが嘘だとは言わない。言わないが・・・。
今、廊下の端と端で、お互いが行き交う生徒達の合間でしか見えないと言うのに、
あからさまに、心の底から「嫌いだ!」と言う顔をしてこちらを睨むスネイプを見ると、
やはりそんな真実は無いのでは無いかと、
ハリーは心の底から感じてしまい、
何が無くても、おのずと睨み返してしまうのだった。
そんなハリーを更に鋭く睨み付け、思いっきり苦虫を噛み潰して、
スネイプは自室に入っていった。
少なからず自分を好いてくれているのでは?
と、期待していた分。あの顔と態度には腹が立つ。
「はぁ・・・。」
怒りの言葉を吐こうとして、けれど思いがけずため息が出てしまったのには、
ハリー自身も驚いていた。
両脇を固めるロンとハーマイオニーではなくても、
この日常的に起こるハリーとスネイプの睨み合いの原因が、
ハリー自身ではないと知らなくても、
そこまでハリーに当たる事は無かろうと誰もが思ってしまう。
が、今更ソレをどう言ったって、あのダンブルドアにでさえ変えられない性格を、
他に誰が変えられると言うのか。
あの頑固さと陰険さが、生徒達に嫌われる第一の原因であり、
スネイプがスネイプたる所以なのだから。
グルグルと周る憤りとため息を飲み込んで、ハリーは寮へと帰っていった。
数日後。魔法薬学の時間。ハリーにとって最悪の時間だった。
教室の中は、いつもの3分の2程の生徒しかおらず、
しかもハリーと同じ班にはネビル・ロングボトムとドラコ・マルフォイが居たのだ。
ここ数日で流行りだした風邪で、ロンとハーマイオニーは昨夜から医務室に移されていた。
珍しい事もあるもので、ドラコの取り巻きのクラッブとゴイルまでもが大熱を出して寝込んでいた。
『馬鹿は風邪引かないんじゃ無かったのか?』
ハリーは心の中で毒づいた。
教室にスネイプが現れて、勝手に決めた班の面子を見て、ハリーは胃が重たくなってしまっていた。
ドラコはスネイプのお気に入りだ。
何が良いのか、それともドラコの父・ルシウスにおべっかでも使っているのか、
滅多にドラコが怒鳴られる事は無い。
それに比べて、ハリーとネビルは、スネイプの格好のストレス発散の的の様だった。
些細な事にも目を配り、薬の種類を調べていれば「見分ける時間が長すぎる。」だの
溶けにくい薬の粉末を必死に溶かしていれば「不器用だ。」と鼻で笑うのだ。
ロンとハーマイオニーが居れば、そんな言葉どうって事は無いのだが、
今日は運悪く2人とも居ない。
何かを言われる度に、ハリーはスネイプを睨み付けていた。
だが、授業が進むにつれ、そんなスネイプの言葉に構っていられなくなった。
ネビルとドラコ。二人の世話をしながらの授業になってしまったからだ。
少なくともネビルは魔法薬学は成績はいい方なので、まだ良かった。
が、ドラコは最初から最後まで自分でやろうとしないのだ。
何だかんだと理由をつけてスネイプに訴え、ハリーとネビルにやらせていた。
自分の事だけで手一杯になると言うのに、ドラコの面倒までやらせるなど、
ハリーは早くこの時間が終わってほしくて、スネイプが口を開く前に
ドラコの面倒をみてやった。
そしてあと20分で授業が終わる。そんな頃。
「出来た・・・。」
課題の《少し強力な眠り薬》が出来上がった。
ドラコの分も作りながら作った割には、上出来だ♪とハリーはホッとしていた。
チラリと横のネビルのゴブレットを見ると、何やら有りえない怪しい煙が
シュウシュウと音を立てて出ていた。
『ネビル。一体何を入れたんだろう?』
この後、自分達の薬を飲まされるだろう事を想像したハリーは、
心の底からネビルに同情した。
が、ハリーの本当の恐怖はここからだった。。。
はあ〜〜。まずは。
連載にするつもりは無かったんですが、何やら長くなったのです;
イロイロ付け足しながら清書していたら。。。
なので、キリのいい所で切りました。
この1話は短いけど、次は少し長く。。。
想像の範囲内だと思いますが、ハリーは次回ちょいと大変になります。
いや。どちらかと言えば、スネ様かも???
次回にご期待ください★
あと、2話くらいで完結します。
させます。完結。