『 独 り 言 』
判らないことは今考えない。(あとで考えるかも判らないけど。)
興味をひかれた事はすぐ手をだしてみる。
僕はいつでもそうだ。きっとこれからもそれは変わらないよ。
いつもメリーには叱られるけど、これが僕なんだ。
だけど、あの日あの時ほど、この性格を悔やんだ事はなかったと思う。
フロドとサムの行方が知れなくなってそれだけでも心細かったのに、
僕があの黒い石に興味を示してしまったばっかりに、
僕はメリーとも離れなきゃいけなくなってしまったんだったものね。
ショックとか、そんな言葉では現せない位に不安でイッパイになったよ。
あの時、僕はようやく事の本当の重大さを知った気がする。
「メリーっ君も行くんだろ?」
そう言った僕を見るメリーは怒ってた。
「直ぐに会えるよね?」
その言葉への返事は
「判らない。」
首を微かに左右に振って不安そうな悲しそうな顔をしたメリー。
僕より格段に頭の良いメリー。きっと僕より遥かに君は辛くて淋しくて不安だったんだろう。
後からアラゴルンに聞いたんだ。君が見張り塔に駆け上がって、僕達を見送っていた事。
本当に僕達ホビットは小さいよね。シャイアでは万能な僕達なのに、
シャイアを出てしまったら何てちっぽけで役に立たない存在なんだろう。。。
人一人助けられないんだ・・・。
そんなホビットがこの世で一番辛い試練を与えられたんだよ。
フロドはなんて不利な役目を引き受けたんだと、僕は胸が痛んだよ。ちくちくとね。
ねえメリー。僕は時々フロドを思い出すよ。
なんでフロドはあの時、自分が行くだなんて言い出したんだろう?
あぁ言わなければ、シャイアやゴンドールや裂け谷は、本当に助からなかったんだろうか?
ねえ、メリー?
何だ…。寝ちゃったのか。僕の話はそんなに面白くなかったのかい?
まぁ良いよ。また明日聞いてもらうからさ。
明日は、そう、やわらかいパンを焼いて小川に行こう。
サム達も誘ってさ。きっと明日は天気だ♪
おやすみメリー。。。
おやすみ、フロド。。。
◆
fin ◆
ピピンなら、こんな話をして居そう。
最初、灰色港から旅立つ事を純粋に、ただ違う土地に移るんだと思ってた私。
ピピンは判ってたのかな? 私ぐらいの勘違いしてそうな気もしなくもないこの頃。。。